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服育コラム

VOL.16 十二単と束帯

十二単は内側に行くほど長くなっています

さて、この十二単、内側に行くほど長くなっています。これは長い裾を引きずりながら歩くのですから、いちばん外側にある高価な唐衣を早く汚したり、傷めない(破る)ためのようです。又、女性が服を脱いでも十二単はそのままの形を残し女性が座ったような形をしています。この状態が、蝉が脱皮した後の殻ににているところから空蝉といいます。そういえば、源氏物語の第三帖は『空蝉』ですが、はなしは、方違(かたたが)えに来た光源氏に身を許すが、その後は自省して源氏の愛を拒み続け、夫の死後出家するというものです。むろん紫式部や清少納言が十二単が重すぎて、肩こりに悩まされながら「ふうー、疲れるわねえ」と、宮中で十二単を引きずりながら歩いていたと想像するのも愉快ですが。

女性は十二単、男性は束帯

さて、日本の伝統装束の代表として、「十二単」という名前はすっかりおなじみになっていますが、十二単に対する公の場における男性の衣装が「束帯」(そくたい)です。宮廷の男性の正装として平安時代以来の長い歴史をもっています。何枚も重ね着した装束を革製で石や角の飾りのついた 「帯で束ねて」着る事からこの名があります。

いちばん上に着ている「袍(ほう)」の形式によって「縫腋(ほうえき)」と「闕腋(けってき)」とのニ種類があり、文官や高位の武官は縫腋袍を、また一般の武官や未成年は闕腋袍を用います。束帯装束にも、身分・年齢・季節や装束を着用する場面などに応じて、袍はもとより冠や下具(袍の下に着る多くの着物)や物ノ具(小物類)にいたるまで、色目・文様など細やかな定めがあります。文様の規定はさらに細かく、官職や家柄の違いまで表す事ができます。  俗に「衣冠束帯(いかんそくたい)」といわれますが、「衣冠」とは束帯を簡略化した別の装束です。束帯の別名を「昼(ひ)の装束」というのに対して、衣冠は「宿直装束(とのいしょうぞく)」とも呼ばれました