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服育活動レポート

「被服心理学」で読み解く衣服のメッセージ~  ~コミュニケーションツールとしての装い~

「被服心理学」で読み解く衣服のメッセージ~  ~コミュニケーションツールとしての装い~

「被服心理学」で読み解く衣服のメッセージ~  ~コミュニケーションツールとしての装い~

No.:
第3回東京服育定期セミナー
日時:
2014年11月7日(金)
セミナー:
「被服心理学」で読み解く衣服のメッセージ~  ~コミュニケーションツールとしての装い~
セミナー講師:
お茶の水女子大学 リーダーシップ養成教育研究センター 特任助教 内藤章江
トークセッション:
制服指導にいかす被服心理学の視点
スピーカー:
内藤章江×有吉直美(服育研究会)
PDF:
セミナー詳細
PDF:
セミナーレポート
会場:
新宿NSビル30F(ルーム5・6)
参加費:
無料
対象者:
学校・教育関係者
主催:
東京服育研究会

「被服心理学」で読み解く衣服のメッセージ~  ~コミュニケーションツールとしての装い~講師:お茶の水女子大学 リーダーシップ養成教育研究センター 特任助教 内藤章江

1.コミュニケーションの種類

コミュニケーションとは情報の伝達、意思の疎通のことであり、大きくは言葉によるバーバルコミュニケーションと言葉以外によるノンバーバルコミュニケーションの二つとされています。「人は見た目が9割」と言われることもありますが、これはアルバート・メラビアン米心理学者)による第一印象を決定する3要素(視覚情報55%、聴覚情報38%、言語情報7%)の言語以外の部分の割合によります。

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2.衣服の社会・心理的機能

1)自分自身を確認し、強め、あるいは変えるという「自己の確認・強化・変容」機能

2)他者何かを伝えるという「情報伝達」機能
(1)アイデンティティに関する情報
(2)人格に関する情報
(3)態度に関する情報
(4)感情や情動に関する情報
(5)価値に関する情報
(6)状況的意味に関する情報

3)他者との行為のやり取りを規定するという「社会的相互作用の促進・抑制」機能
(1)同調行動
(2)応諾行動
(3)援助行動

同じ人なのに服装が違うだけで応対が変化したり、服装によってその人の行動がよく見えたり悪く見えたりするのは、この衣服の社会的、心理的機能によるのです。さらには外面が自身の内面に影響するという報告もあり、衣服は私達の心理に大きな影響を及ぼしています。

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3.コミュニケーションと衣服の関係

衣服の役割をふまえた上で、実際にその衣服がコミュニケーションにどのような役割を果たしているか実際に体験してみました。

「あなたの今日の装いは何を伝えていると思いますか?3つ挙げてみましょう」との問いにまず自分で3つ挙げ、続いて「それちゃんと
伝わっていますか?」と、隣の人に先ほどの3つの中で伝わっているものはあるか聞いてみました。

会場の方全員に参加していただきワークを行いましたが、皆さん改めて自分は「その人の『装い』とその人の『情報』を結ぶ付けてい
る」ということを実感されたようでした。

4.制服の着用方法がコミュニケーションに及ぼす影響

制服とコミュニケーションについて考える前に、そもそも生徒達にとって「学校」という場がどのような位置づけにあるのか調べた意識調査を紹介していただきました。調査によると子ども達にとって「学校はカジュアルな場として捉えられており、かつ、自宅と買い物の場面に近い感覚で捉えられている」となっており、さらに着装規範については「学校で着用する衣服は、学年が上がるにつれ、機能性に対する意識は薄れ、自己アピールや流行を意識するようになる」「学校で着用する衣服は、学年が上がるにつれ社会性に対する意識が低くなる」ということでした。

この他にも「学校・街中で制服を着用した場合に抱く感情」「自己評価と他者評価の相違」など様々な意識調査をもとに、「制服を正しく着用しない人は『おしゃれ感』を抱いて制服を着用。しかし周囲(見ている人)は個性的・批判的感情を抱く。自分自身がどのように見られているのかを生徒自身に考えさせる教育・指導が必要」とその重要さを私達に再認識させてくださいました。

5.コミュニケーションとしての装いとは?

「装い」をコミュニケーションツールとして活用するために3つのポイントを挙げられました。

・あなたの良さを「装い」で自由に表現できる力を身に着けておく。

・自分の「装い」が相手にどのような印象を与えるのかを考えておく。教育・指導時にその視点を取り入れる。

・「装い」がコミュニケーションツールの一つであり、多くのメッセージを発することを忘れないようにする。

衣服コミュニケーションについての力を育むツールとして「服育着こなしワークシート」を紹介されました。友達という自分に近い価値観を持った人の客観的視点に気付くこのワークシートは、これまでの一方通行な指導とは異なる取り組みとなるのではないでしょうか。

講師のご紹介

内藤 章江
内藤 章江
お茶の水女子大学 グローバルリーダーシップ研究所 特別研究員

2008年お茶の水女子大学 リーダーシップ養成教育研究センター 特任助教、グローバルリーダーシップ研究所 特任講師を経て現職。博士(学術)。専門分野は被服心理学、被服意匠・色彩学。衣服・着用者・着用場面の相互関係が着用者自身や周囲に与える心理的・生理的影響に関する研究に取り組む。著書に「装いの心理と行動」(共著)、「生活の色彩学」(共著)などがある。

トークセッション  制服指導にいかす被服心理学の視点講師:内藤章江×有吉直美(服育研究会)

事前にいただいていた参加者からの質問や疑問を中心に繰り広げたトークセッションでは、明日からの制服指導の参考になる様々なアドバイスをいただきました。

おそらく多くの先生が悩んでおられる制服の着こなしについて、生徒の思いと教員の思いの違いについての悩みにには、「まずは生徒気持ちを知ることが大切。規則の押し付けは反発心を生むだけであり、現在の制服着用状況について生徒同士で評価させ、話し合わせることも有効」とアドバイスいただきました。

「学校がよくなっていく指導」とは何かという質問に対しては「生徒と共に学校をちょっと良くする工夫を考えてみましょう。参加型の取り組みが有効。」と、生徒達自身に考えさせ気付かせるためのアイデアをいただきました。

また、被服心理学について内藤先生自身は「外見が変わるだけで印象も態度も変化することの面白さを知ったこと」と研究のきっかけをご紹介くださり、被服心理学の面白さと知ることの重要さを改めて私達に伝えてくださいました。