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服育活動レポート

着物の知恵を今にいかす/尼崎市中学校家庭科研究会

着物の知恵を今にいかす/尼崎市中学校家庭科研究会

着物の知恵を今にいかす/尼崎市中学校家庭科研究会

対象:
尼崎市中学校家庭科研究会(兵庫県)家庭科教論
日時:
2012年5月15日(火)16:00~17:00
目的・経緯:
新しい学習指導要領から衣生活の中で着教えるべき内容として着物が入ってきました。 限られた授業の中でいかにして日本の伝統文化である着物を取り上げるべきか話し合いを進められる中で、着物についての研修を企画されることになりました。

江戸時代と現代の比較から見えるもので

今回の研修では「着物文化を環境の視点から見てみましょう」ということでお話しさせていただきました。

江戸時代が素晴らしい循環型社会だったということはよく聞く話ですが、その中で衣服はどのように循環していたのか、現在の衣服と比較しながら見ていきました。

当時、着物は循環社会の優等生だったようで、大切に大切に何人もの人に着用され、着られなくなったら裂き織や雑巾にされ、そして最後は灰となって大地に帰り、新たな植物の成長を助けました。

一方現代は、工業化と化学繊維の出現で大量生産・大量消費が進み、ほんの2割に満たない衣服が何らかの形でリサイクル・リユースされているにすぎません。

着物が上手く循環することができたのは、その繊維素材、パターン、時代背景等様々な要因がありますが、現代のものが溢れた社会に生きる私たちが忘れてしまった大切なものがあるような気がします。

家庭科の中で着物も環境も扱う内容ではありますが、改めて着物を環境の視点から見るということはあまりなかったようで皆さんとても熱心に聞いておられました。

着物をヒントにした授業提案

着物が上手く古着として流通したのには、まず着物の構成の独特さがあります。

洋服が細かいパーツを組み立て体に合わせた立体的な服となるのに対して、着物は大きな四角のパーツが組み合わさった平面構成で、着ることのできる体のサイズに幅があるのが特徴です。

つまり服を人にあわせてサイズごとに作るのでなく、人が服に合わせて着方を工夫していると言うことになります。

この特徴は、フォークの役目もナイフの役目も果たす”箸”や、応接間や寝室の役目も果たす”畳部屋”にも通じる日本文化の特徴です。

研修風景

日本のよさがきゅっとつまった"ふろしき"体験

この日本文化の特徴を体験できるものとして、今回は”ふろしき”をご紹介しました。

一枚の平面の布が包み方によって、四角いものも丸いものも、大きいものも小さいものも包むことができます。

日本文化のよさがぎゅっとつまった小物で、簡単に日本文化のよさを体験することができます。

今回は基本の結び”真結び”のみ先生方に体験していただきましたが、他に簡単にご紹介した様々な包み方の楽しさに皆さん驚いておられるようでした。

大人にとっては古いもののイメージがあるふろしきですが、今の時代の子供たちとっては新しく感じることのできるものだと思います。

ぜひ上手く授業の中で取り入れて、日本文化の良さに気付く子どもたちが増えて欲しいですね。

研修風景

先生のご感想

尼崎市中学校家庭科研究会では各校1名しかいない教科担当が集まって研究、研修を深めることで授業力向上を目指しています。

今年度、新学習指導要領に即した研究内容として、踏み込んだ記述のある伝統文化の衣生活に欠かせない和服を取り上げることにしました。「衣服を通して考える環境」を推奨されている貴社のお話の中で、エコと和服の関係の深さをいろいろな角度から分かりやすく教えていただきました。和服と洋服の違いとそれぞれの特徴を再認識すると共に、和の文化のすばらしさや利点を知ることができました。また、子供たちに「衣服を通して自分の身の回りを見つめ直す大切さ」を教えるヒントをつかむことができたように思います。

和服は子供たちにとって、ある程度関心はあるものの身近なものとは言えないのが現状ですが、風呂敷や浴衣などをきっかけとしてうまく授業の中に取り入れ、その良さを学ばせたいと思います。なかなか発想が広がらない我々にとって参考になるものがたくさんありました。ありがとうございました。
佐藤喜代子 先生(校長)

参加者のご感想

和服とエコという私にとっては意外なキーワードがつながり、大変勉強になりました。和服が指導要領に新しく加わり、"エコ"が叫ばれるこの時代にこの二つを組み合わせた授業の糸口が見えました。ふろしきを実習させていただいたことも大きかったです。講義ばかりでは子ども達の知的好奇心をひきたてることが難しく、こういった実践があるとより日常生活に結びつくのではと感じました。(中学校家庭科教諭)
今、ちょうど衣生活を指導中です。衣服を大切に使って欲しいと思う気持ちがあったのですが、どう伝えればよいか分からずにいました。今日のお言葉がとても参考になりました。有難うございます。(中学校家庭科教諭)
忘れかけていた和の文化の大切さを感じました。ふろしきを含め和の文化はいろいろ使用範囲、変化に富み授業に取り入れる内容によっては、思考力・心を育てる内容になるのではと思いました。本年度、来年度の発表の参考になりました。有難うござました。(中学校教頭)