こころを育む衣服 服育

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服育活動レポート

服育からの環境への取組み/大阪府教育センター

服育からの環境への取組み/大阪府教育センター

服育からの環境への取組み/大阪府教育センター

対象:
大阪府教育センター(大阪府)町学校及び府立支援学校(小学校)の教員
日時:
2008年7月24日(木)13:30~16:30
目的・経緯:
大阪府教育センターでの夏期研修のお手伝いは今年で4年目になります。 これまでは服育の「社会性」「環境」「文化理解」など様々な角度から服育を学んでいただく研修を企画してきましたが、今年は特に「環境」分野にまとを絞った形でというご要望をいただき、「衣服と環境」をテーマに研修を組み立てさせていただきました。

衣服と環境「江戸時代に学ぶ」

衣服を通した環境学習ということで、まずは衣服と環境問題に関する概要説明から入りました。

ものが溢れる現代で、私たち日本人は「年間一人当たり服を10kg買い、9kg捨てている」と言われています。そんな私たちの衣生活を見つめ直すために、今回は現代と理想的な循環型社会だったといわれている江戸時代とを比較して見ていきました。

江戸時代に衣服がとても大切に着られていたのは、素材や衣服を構成するパターン等の違いでリユースやリサイクルしやすかったということもありますが、何よりも布地がとても貴重なものだったということがあります。当時は貴重な布を最後まで使おうという「もったいない」の気持ちが大切にされていたのです。

研修風景

ノーベル平和賞も受賞されているワンガリ・マータイさんが注目された「もったいない」の中にある3R+Respectの気持ちは、私たちの文化を考え直す上でとても大切なキーワードになってきます。

概要説明の最後には、私たちの持っている素敵な文化「ふろしき」について簡単に説明しました。一枚の布が変幻自在!何でも包めて、持ち運びも楽、バッグにはない応用力の大きさが魅力の素敵な日本文化です。

廃棄物問題からふろしきまで、私たちのまわりの衣服(繊維)と環境とのつながりに改めて気付かれた先生も多かったようです。

衣服の循環を知る「服の一生エコすごろく」

講義の後は、「衣服と環境」を体験的に学ぶゲームと実験のご紹介です。

まずは服の循環について学ぶすごろくの体験をしていただいたのですが、このゲームは昨夏、京都服育研究会でも行った「服の一生」すごろくをベースに、先生方が学校で取り組みやすいよう少し変更したものです。

服の一生すごろく

工場で作られた服をお店屋さんで買ったら、いよいよゲームのスタートです。内容はかんたん、すごろくの中にリペア、リユース、リサイクル(二種類)、廃棄があり、それぞれ止まった場所によって得点を得られるというシンプルなものです。ただ、ゲームの中でリユースはいったい何をすることなのか、リサイクルされたらどうなるのかを知ることができるので楽しみながら衣服と環境の関わりについて学ぶことができます。

また買うときにどんな観点で衣服を選ぶかというのも押さえておきたい大切なポイントです。

大きなサイコロを転がしながら皆さんとっても楽しそうに参加してくださって、このゲームをモデルにいろいろな授業案が浮かんだ先生もおられたようでした。

研修風景

リサイクルを感じる「ペットボトルから綿を取り出そう」

最後は衣服のリサイクルを感じることのできる実験「ペットボトルから綿を取り出そう」に挑戦していただきました。

ペットボトルはリサイクルされて服になるということを皆さん知ってはいても、どうやってリサイクルされているのかはなかなかイメージしにくいものです。

ここの実験ではペットボトルのフレーク(PETボトルをよく洗って8mm角くらいの小片に粉砕したもの)が綿になる様子を、簡単な手作り実験キットで体験できます。先生のご感想の中にも「実際に糸が出てくるのが見られるのは、驚きの中から学べるので心に残ると思います」とありましたが、実際目で見て体験できるというのは、知っているだけとは違う強さがあるんですね。

環境に対する関心は年々高まってきていますが、同じ環境問題でも服を通してみる事でぐっと身近に感じることができます。今回の研修がそれぞれの学校での環境への取組みにいかされれば嬉しいですね。

先生のご感想

今年の研修は、「服育」の中でも特に「環境」にスポットを当てていただくようお願いしました。というのも、平成20年に告示された新学習指導要領では、持続可能な社会の構築を目指して、小学校・中学校の家庭科の内容に「身近な消費生活と環境」が新たに設定されたからです。

総合的な学習の時間やさまざまな教科で、ごみやリサイクルの話題を取り上げることは多いと思います。しかし、今回の「衣服の一生すごろくゲーム」のように、毎日の生活になくてはならない、人にとって一番身近な「衣服」という題材を通して、エネルギーや環境、そして自分たちの消費生活の在り方までを考えるという授業は、あまり取り上げられてこなかったのではないでしょうか。

「衣服の一生すごろくゲーム」を体験した後、家庭科の授業の中でもしこのゲームを取り入れるなら…と、次々とイメージが膨らんできました。エネルギーや環境というテーマのように、答えの出せない問題や正解がひとつではないことを扱う授業では、教師も子どもたちと一緒に悩んで、考え、意見を出し合い、行動してみる、そんな学び方も大切になってくると思います。

今回紹介していただいた「衣服の一生すごろくゲーム」を教室の子どもたちと一緒に作り、ゲームを通じて子どもたちが具体的に自分でできることを考え、そしてお互いの考えを共有しあえる、そんな授業展開も楽しそうですね。
岡本真澄先生(大阪府教育センター指導主事)

参加者のご感想

自分の生活の中でなくてはならない衣服。大事に使う、地球のことを考えながら自分の好みも含めて選んでいくということを小学校の頃から学んでいくのは大切だと思います。“もったいない”精神忘れないでいたいものです。(小学校教諭)
実習をしない衣服分野は子どもにとってたいくつになりがちですが、とても興味深い話をたくさん聞かせてもらい楽しかったです。身近な衣服について、たくさんの視点から考えられると知り、とても興味深かったです。二学期から活用させていただきたいと思います。有難うございました。(小学校教諭)
自分もいろいろ無駄な買い物をし、たくさん捨てているなあと感じました。物を大事に使うこと、無駄にたくさん買わないことがとても大事だなあと感じました。江戸時代のように灰になってもまだ利用する姿勢はとてもカッコイイと思いました。ありがとうございました。(小学校教諭)