こころを育む衣服 服育

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服育活動レポート

学びを生活に生かす指導法の検討/大阪府教育センター家庭科研修

学びを生活に生かす指導法の検討/大阪府教育センター家庭科研修

学びを生活に生かす指導法の検討/大阪府教育センター家庭科研修

対象:
大阪府教育センター(大阪府)高等学校および府立盲・聾・養護学校(高等部)の家庭科担当教員
日時:
2007年8月2日(木)13:00~17:00
目的・経緯:
大阪府では2005年より夏期家庭研修の衣服分野で「服育」を取上げ研修を組まれています。 先生方が新しい視点で衣服分野の授業展開を行うアイデアとして、研修の中では特に文化理解、社会性、環境の三分野に絞り、体験的活動を中心とした「服育」の取組みをご紹介させていただきました。

服と国際性、文化理解 ~それぞれの民族衣装の特徴~

約7割の先生が「服育」ということばを初めて聞いたとのことでしたので、まずは「服育とは」というところからお話していきました。

服育の説明の後「国際性・文化理解」ということで、各国の民族衣装や日本の着物を通してそれぞれの文化や環境との係わりについて見ていきました。

和服についてはその特徴を特に環境面から見ていきました。最近話題の「もったいない」とも絡ませながら、かつては和服には理想的な循環システムがあったことなどについて説明しました。またもう着ることができない和服で作った日傘の紹介もさせていただいたところなかなか好評でしたよ。

オンタイムとオフタイムの衣服の特徴とは?

続いて各国の民族衣装についてですが、今回は、チマチョゴリ(韓国)、チャイナドレス(中国)、アオザイ(ベトナム)、サリー(インド)、バロンタガログ(フィリピン)を取上げてそれぞれの特徴や、文化の伝播の様子について説明していきました。

長い布を巻きつける衣服文化の代表格であるサリーについては、特別に着付け体験を先生をモデルにして行いました。サリーの着付けは意外に簡単なので、先生方からは「授業の導入に使えそう」なんて声もあがっていました。

服と社会性 ~TPOを学ぶ授業体験~

「服と社会性」ではTPOを学ぶ授業を、先生方に生徒として参加していただき行いました。

スーツやTシャツ、制服、パジャマといった様々なTPOの服をオンタイムとオフタイムに分け、それぞれの衣服の特徴(デザイン、カラー、素材など)を班で協力して見つけていく授業です。

TPOという観点は、社会に出て多くの人と付き合っていく中でとても大切なことになってきます。服装だって「自分さえよければいい」というわけにはいきません。TPOに応じた服装をTPOに応じて着こなすことができるということは基本的な服装マナーであり、つまり他の人を不快にさせない思いやりでもあります。

先生方の感想を見てもTPOの大切さに関する感想が多く、当たり前のことだからこそしっかりと教えていかなければならないと感じておられるようでした。

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先生方の感想を見てもTPOの大切さに関する感想が多く、当たり前のことだからこそしっかりと教えていかなければならないと感じておられるようでした。

さらに今回はカラーの話として自分の選んだカラーで自分の気質を知るキーワードなど、家庭科の授業だけでなく生徒とのコミュニケーションに使えそうなものもご紹介しました。

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服と環境 ~繊維リサイクルについて考える実験~

衣服と環境については、ゴミ問題から繊維の現状を見ていきました。

専ら物(もっぱらぶつ)として回収、リサイクルが行われてきた繊維ですが、デザインや素材の多様化に伴い、リサイクル率は他のもの(缶や古紙など)に比べて非常に低くなってしまっているのが現状です。

そんな中で私たちにできることは何なのか?3R(REDUCE、REUSE、RECYCLE)はもちろん、REPAIRやREFUSEなど衣服に係わる様々な場面で私たちにできることについて説明し、さらに繊維業界で進められる様々なリサイクル(マテリアルリサイクルやケミカルリサイクル)についてお話しました。

繊維リサイクル実験の体験

その中のひとつペットボトルリサイクルについては、単なる講義でなくペットボトルが繊維にリサイクルされる過程を体験できるリサイクル実験を全員に体験していただきました。話を聞くだけと実際体験してみるのではやはり違います。先生方ご自身も楽しんで実験に取り組まれていたようで、やり方を工夫してぜひ授業にも取り入れてみたいと好評でした。

ペットボトルリサイクル実験

先生のご感想

「衣服の着こなしは、ノンバーバルコミュニケーションのひとつです」との有吉さんのコメントのとおり、T.P.O.に応じた衣服の選択や着こなし方は、家庭科の「衣」内容で生徒にしっかりと考えさせたいところです。今回は、カラーコーディネートのお話も入れていただき、とても興味深い研修になりました。また、サリーの着付けや繊維のリサイクル実験などの体験的なワークは、即授業に生かせる内容でした。“3R+RESPECT(かけがえのない地球に対する尊敬の思い)”が込められているという「もったいない」ということばの奥深さも改めて考えさせられました。感謝の気持ちやものを大事にすることを胸に、衣生活を送ることが大事ですね。
神崎雅子先生(指導主事)

参加者のご感想

4時間の講義でしたが、とても興味深く楽しく聞かせていただき、大変参考になりました。TPOの生徒への説明は時間の関係上さっとしてしまいますが、服が相手に与える印象の大きさ、また色が与える印象の大きさなども生徒にとって興味もあるだろうし、実際に社会に出た時、人とのコミュニケーションの上でとても大切なことだと思いました。(高校家庭科教諭)
食育は大変有名だが服育はあまり聞かない。しかし衣食住とされるように、毎日の生活にかかせないものであるので“服”に関して深く興味関心を引き出してやることは重要であると感じた。(高校家庭科教諭)
盛りだくさんの内容でしたがあきることなく楽しく参加させていただき有難うございました。オンタイム、オフタイムの服の分類について生徒が身近な内容で考えやすくグループ協議が盛り上がりそうに思います。またペットボトルの実験も面白かったです。(養護学校家庭科教諭)