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服育活動レポート

防災へ、服からのアプローチ ~身近な衣服から始める震災への備え~

防災へ、服からのアプローチ ~身近な衣服から始める震災への備え~

防災へ、服からのアプローチ ~身近な衣服から始める震災への備え~

No.:
第17回 服育ラボ定期セミナー
日時:
2013年10月26日(土)
メイン:
防災へ、服からのアプローチ ~身近な衣服から始める震災への備え~
メイン講師:
横浜国立大学 教育人間科学部 教授 薩本弥生
サブ:
子ども達を守る様々は衣服の取り組み ~制服で、授業で、子ども達を守る様々な取組紹介~
サブ講師:
服育研究会 有吉直美
PDF:
セミナー詳細フライヤー

防災へ、服からのアプローチ ~身近な衣服から始める震災への備え~講師:横浜国立大学 教育人間科学部 教授 薩本弥生

いざという時の衣服の備え

阪神淡路大震災、新潟中越地震、東日本大震災とこの20年間に複数の大地震がおき、それ以外にも頻発する台風、急な大雨や竜巻など誰がいつどこで災害に見舞われるかを予想することは困難です。

防災への関心が高まる中、私たちが常に身につけている衣服からどのようなアプローチができるのか教えていただきました。

【衣服の備え】

3セット分の着替えセットを用意しておきましょう。尿取りパッドを付けておけば洗濯回数が減らせます。体の防護用に帽子や軍手、気候の変化に対応するための衣類の用意(タオルケット、カーディガン、ウィンドブレーカー等)をしましょう

【衛生面への備え-洗濯】

水は貴重なので、少量の水で洗濯するためにポリ袋を使います。ポリ袋に洗剤(節水タイプ)と水、洗濯物を入れもみ洗いします。足で踏んで脱水後、水を変えてすすぎのもみ洗い、脱水をして干します。汚れの少ないものから洗い、使った水はトイレ用として再利用します。

【安全性への備え-着衣着火】

燃えやすい素材を知ることが大切です。特に溶融しながらえ燃えるもの(ポリエステル、アクリル等)はひどい火傷をおうことがあります。もしも服に燃え移った時は、服を脱ぎ捨てる(燃える材料を取り除く)か、転がりながら大声で助けを呼ぶ、水をかぶるか濡れたタオルや毛布を押し当てる(燃焼温度を下げ、酸素を減らす)ようにします。

暑さ、寒さに備える

寒い冬や暑い夏にどうすればより快適に過ごすことができるのか知っておくことは、夏場や冬場のいざという時にも役立ちます。

例えば、保湿性を高めるには静止空気を含む衣服(羽毛、キルティングなど)が効果的です。避難所などは新聞紙をくしゃくしゃにして服の間にはさんで着るだけでも暖かさがぐっと増します。

またアルミはより効果的に熱が逃げるのを防ぐことができ、皮膚と服の間にアルミを挟み込むだけで約3割もの熱通過率を減少させることができます。

その他零点密度が高く皮膚温の下がりやすい襟首や上半身体感部の衣服調節が保温には重要であるということや、夏場を快適に過ごすための吸水速乾繊維についてなど、様々な科学的データや実験を見せていただきながら分かりやすく繊維と快適性について教えていただきました。

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物と知恵で防災に備える

衣服機能面からいざという時の備え考えると、大きく以下の4点になります。

・衛生保持への備え/下着や生理用品確保、洗濯の仕方

・安全性への備え/防護衣服

・暑さ、寒さへの備え/セーター、防災グッズなど

・運動機能性への備え/動きやすい上着セットの確保

いつ起こるか分からない災害のための衣服の備えは、決して特別なものばかりではないのです。

参加者のご感想

生徒は洗濯は機械がやってくれるものと思っています。少しの水で洗濯する方法は、身体も動かすし授業に取り入れると生徒は興味を持ってくれると思いました。実際に一度経験してみることは、知恵の備えにつながることと思います。(教諭)
タイトルから想像つかない内容濃さでした。有難うございました。夏場の服装、冬場の服装、何がよいのか体にあっているのは?を学ぶことができました。すごく勉強になりました。(教諭)
被服について科学的な角度をプラスした授業に活かせるものでした。(教諭)

講師のご紹介

薩本 弥生
薩本 弥生
横浜国立大学 教育人間科学部 教授

現在:
横浜国立大学教育人間科学部教授・博士(被服環境学)

経歴:
1987年  お茶の水女子大学家政学部被服学科卒業
1989年 お茶の水女子大学大学院家政学研究科被服学専攻修士課程修了
1992年 文化女子大学大学院家政学研究科被服環境学専攻博士課程修了

研究内容:
被服環境学・被服衛生学・被服構成学をベースとして着衣の熱水分移動特性、着衣の運動機能性に関する研究に従事。

主な著書:
アパレルと健康-基礎から進化する衣服まで-,日本家政学会被服衛生部会編,株式会社井上書院,分担執筆, 2012.
衣生活の科学、谷田貝麻美子、間瀬清美編著,アイケイコーポレーション, 分担執筆,2006
快適ライフを科学する,薩本弥生編著,丸善株式会社,2003
衣生活の科学,分担執筆 放送大学教育振興会,2002ほか

子ども達を守る様々は衣服の取り組み ~制服で、授業で、子ども達を守る様々な取組紹介~講師:服育研究会 有吉直美

子ども達の生活の中で一日の約半分は、登下校も含め学校に関わる時間です。学校外と学校内で 過ごす時間それぞれに、子ども達を守るためにどのような観点が衣服からあるのか考えました。

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学校外で子ども達を守る

・着こなし方で守る

挑発的に見える短かすぎるスカートや大きくあけた胸元などは、性犯罪に巻き込まれる可能性を  高めているかもしれません。しかしきれいに着こなすために危険性ばかり強調するのではなく、スカートの視覚効果など楽しく納得できる声掛けが同時に必要ではないでしょうか。

・選び方で守る

その他交通事故防止のために視認性の高い色を工夫する、小さな子にはフードなど遊具にひっかける恐れのある服を避ける等、知っておくと自分だけでなく将来親になる時のためにも役立ちます。

学校内で子ども達を守る

家庭科の先生と共同開発した多機能ざぶとん「すく~とん」は、教材でありながら自分を守り、学び、且つ日々使うことのできる新しい家庭科教材です。家庭科で修得してほしい基礎的な技術をおさえつつ、もしもの時には実際に自分を守るために使うことのできます。制作時はもちろん使用する日常生活の中で防災意識を持つことができる取り組みです。

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