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服育活動レポート

考えよう!服エコ 服でつながるグローバルな環境問題/灘中学校・高等学校

考えよう!服エコ 服でつながるグローバルな環境問題/灘中学校・高等学校

考えよう!服エコ 服でつながるグローバルな環境問題/灘中学校・高等学校

対象:
灘中学校・灘高等学校(兵庫県) 中学1年生
日時:
2016年2月19日(金)14:00~15:00
目的・経緯:
将来、世界を視野に活躍が期待される生徒達に、生活の基礎である衣服の大切さや環境との関わりについて伝えたいと、家庭科授業の一環として企画・開催されました。

服との付き合い方について聞きました

昭和2年に旧制灘中学校として創立された灘中学校・高等学校は、創立当初から男子校として日本はもとより世界で活躍する人材を数多く輩出しています。

今回お話しさせていただいたのも、もちろん男子ばかりの183名。はたして衣服にどれだけ関心があるのでしょうか?

まずは衣服に対する関心度を聞くため、青とピンクのカードを使った質問時間をとりました。「はい」なら青、「いいえ」ならピンクをあげてもらうこととし、自分だけでなく友達の意見も見ながらみんなの衣服についての意識を聞いていきました。

授業風景/皆積極的に参加してくれました

「今日着ている服は自分で選びましたか?」は青(はい)が多目、「自分で選んだ服を買うことはありますか?」「自分で服を洗濯することもありますか?(干す・たたむも含む)」にも、思っていたより多くの子が青(はい)をあげていました。

ただ、最後の質問「服に興味ありますか?」についてはピンク(いいえ)を上げる子が多く、残念ながら衣服への関心はあまり高くないようでした。

質問の後はいよいよ本題です。 今回のテーマは「エコ」。おそらく彼らが抱いていた衣服へのイメージとは、一番遠いテーマだったかもしれません。

授業風景

身近な繊維「綿」と「ポリエステル」

私服通学の学校なので、学校で着ている服はみんな違う服です。しかし品質表示で今着用している服の素材を確認してもらうと、「綿」「ポリエステル」「毛」を使ったものがほとんどでした。

学校指定の体操服等の素材も綿/ポリエステルの混紡素材となっており、服のデザインは全く違いますが同じ繊維がたくさん使われていることが分かります。

今回は特に身近な繊維である綿とポリエステルについてライフサイクル(服の一生)を見ていきました。

綿花からできる天然繊維の綿に、石油からできる化学繊維のポリエステルと全く違う繊維ですが、そのどちらもライフサイクルの中で様々な環境問題と密接に関連しています。

農薬による土壌汚染の問題、資源問題、水質汚染の問題、そして全ての段階でのエネルギー使用による大気汚染(地球温暖化)の問題等々、見れば見るほどライフサイクル全ての活動が環境問題と絡んでいます。

毛素材の元になる羊については羊のゲップ(メタンガス)が地球温暖化に影響している可能性があるなど、初めて聞いた話もあったようで驚いている子もたくさんいました。

世界とつながる服エコへ

地球規模の環境問題が広がる中で、私達個人ができることは限られています。

しかしその限られた「できること」をしっかり意識して欲しいと、「購入する時」「着用する時」「廃棄orリサイクルする時」の3つのステージで、私達にできることをまとめました。

服の選び方、洗濯の仕方、処分の仕方等々やろうと思えば誰でもできることです。ただ、中学一年生の彼らにとって衣服は自分一人で全てできるわけではありませんので、ぜひおうちの人とも話をしながら取り組んで欲しいとお話ししました。

最後に服とは直接関係ありませんが、フィジー、トンガ、サモアへ廃棄物処理の視察に行った時の様子を紹介しました。

南大洋州の美しい島々が深刻なゴミ問題に直面している現実はショックな事実です。

将来何かのものづくりに携わる子も多いと思いでしょう。ものを作る人間は、そのものが最後どこへ行きどうなるのかまで責任を持つことが求められているのです。

環境問題は複雑です。答えは一つだけではありません。  これまで興味のなかった衣服に関心を持つ子が少しでも増え、彼らなりの服エコについて考え、行動を起こしていって欲しいと願っています。

ゴミの山に悩む国々もあります

先生のご感想

2月中旬、中1学年全員を対象にした講演では、衣生活と環境とテーマに、有吉直美先生に、お話をしていただきました。

導入部分では、2色のカードを利用し、生徒達の衣生活全般の振り返りを行っていただき、生徒同士にも、お互いの服への関心や衣生活での自立度合いが分かるように、ご指導いただきました。また、自分の身に着けている服から、素材の話へと関連づけ、服のライフサイクルのお話につなげて、いただき、日常生活と環境問題との関連をより身近に感じる事が出来たのではないかと思います。

最後の、有吉先生がご視察された国での、衣服とごみについての画像を交えたお話は、生徒達にとっては、とても印象に残るものだったようで、多くの生徒が感想で、"資源や環境と服のつながりに関心を持てた"と書いていました。今年度は、アパレル産業も含めた児童労働をテーマにしたグループワークに取り組んでいた事もあり、自分達の消費生活と社会のつながりが、より強く認識出来たのではないかと思います。

男子校で、服について関心のない生徒が多くみられますが、今回の講演をきっかけに、服についての広い視点からの興味・関心を深めてくれた事は、彼らの今後の生活にもきっと何かの役に立つのではないかと思います。

元気で個性的な生徒達を対象に、双方向のやり取りも加えながら、素晴らしい学びの場をご指導いただいた有吉先生、並びに竹馬様には、心から感謝致しております。ありがとうございました。
(灘中学 家庭科非常勤講師 布村沢子先生)

生徒さんのご感想

今から少しずつでも出来る事(着ない服などをリサイクルに出すなど)はあるのでやっていきたいと思う。羊のゲップでもメタンが出るなど初めて知ったこともありとても有意義な時間を過ごす事ができた。今回は服というキーワードだけだったけど、他にも色々あると思うので自分でも調べてみたいと思った。エコについての答えは一つではない!(中学一年生男子)
いつも何気なく買い着ている服が、今世界中で問題になっている環境問題と密接に関わっていることを知り驚いた。日本人はあまり意識しないゴミ・資源問題だが、現実に服が生産されるごとに特定の地域にゴミが増えていることをしっかり認識し、一人ひとりが服に対して意識を持って購入・使用・廃棄に関して考えていかなければならないと思った。(中学一年生男子)
最初、服について全くといっていいほど興味がなかったが、エコの視点で見ることによって環境の問題や素材についてなどのことがよく分かった。また、服についてのエコを考えることもできた。自分達にもできることがあると分かり、これからも多くのポイントに気を付けて服について考えていきながら生活していこうと思った。(中学一年生男子)