【学びツール活用事例】「制服の一生すごろく」を使いSDGsを踏まえた消費者教育/三重県立松阪高等学校
- 期間:
- 2020年6月~9月
- 対象:
- 高校一年生
- 目的・経緯:
- 学校教育が目指す「生きる力」の育成は、金融教育と様々な点で接点を持っています。 2020年、三重県立松阪高等学校では消費者教育に関する実践「金融教育研究授業」に取り組まれ、その中で「制服の一生すごろく」や制服の残反を活用していただきました。
1.身近な制服を通して、金融経済から環境問題まで考える
松阪高等学校では、家庭科教育にSDGsの観点を取り入れ、エシカル消費、金融経済、環境問題といった様々なことを生徒に実践教育で学んで欲しいという考えから、身近な「制服」を題材とし、一年生「家庭基礎」において制服残反と「制服の一生すごろく」を活用した授業を計画されました。
新型コロナウイルス流行の影響で、グループワークや実習等が制限される中、教師からの一方的な授業ばかりでなく、自分達で動き、興味を持てる内容としていくためです。
2.楽しく学んで気付く「制服の一生すごろく」
「制服の一生すごろく」は、制服の一生(原材料→縫製→着用→リサイクル→廃棄)の環境負荷について、特に温暖化の原因とされているCO2の排出量を「見える化」することで、服の流通と共に環境についても学ぶことのできるすごろくです。
松阪高等学校では「制服の一生すごろく」を通して、SDGsを踏まえながら、低炭素社会や循環型社会・自然共生社会をつくる重要性について考えていきました。
すごろくで遊びながらの学びはとても盛り上がり、先生が想像していたよりも生徒達の中で様々な気付きが出てきて、ワークシートにびっしりと感想を書く子が大半だったようです。
3.制服の残反を使ってものづくり
「制服の一生すごろく」を通して環境問題や3Rについてはもちろんのことエシカルファッションなどについても理解を深めた上で、制服の残反を再利用して巾着袋やマスクを作成しました。
授業では、学校制服のチェック柄生地の残反やビジネスユニフォームの残反である和紙デニムで、授業の中でエプロンを入れる巾着袋を作りました。
また、和紙デニムは、家庭部の生徒達がマスクを作成する際にも活用しました。
先生のご感想
- 「制服の一生すごろく」は、生徒が取り組むことで自然にCO2の排出量を把握することができ、自分の手元にある時だけでなく、製造から着終わった後という制服の一生・様々な過程においての環境負荷に自ら気づくことができます。さらに、自分には何ができるかを考えるきっかけとなるのはもちろん、社会全体でどうしていくべきかについても話し合うことができ、生徒たちの視野が広がりました。
また、残反の活用においては、実際の残反に触れることで実感が湧くとともに、再利用の技術を身につけることができました。さらに、残反には和紙デニムなどのエコな素材もあり、環境を守るための新たな素材についての知識を得ることができました。よりエシカル消費を心がけ実践できる態度が身につきました。
生徒たちは「服育」を通して、様々な気づきと自ら考えるきっかけを得ることができました。SDGsを踏まえた消費者教育は、SDGを理解し具体的に実践できる・持続可能な社会の実現を目指すことができる力を培う学びとなりました。
(家庭科教諭 岡恵美子先生)