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服育活動レポート

第29回服育ラボ定期セミナー「服と目指す多様性、服と取り組むサステナビリティ」

第29回服育ラボ定期セミナー「服と目指す多様性、服と取り組むサステナビリティ」

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第29回服育ラボ定期セミナー「服と目指す多様性、服と取り組むサステナビリティ」

日時:
2025年8月1日(金) 講演会:13:30-16:30 体験会:16:45-
場所:
APイノゲート大阪 11階 J・Kルーム
開催形式:
リアル&Zoomウェビナー
講師:
文部科学省 初等中等教育局児童生徒課
講師:
日高 庸晴(宝塚大学 看護学部 教授)
講師:
白鳥 真衣子(パナソニック株式会社 ふつう研究室)
講師:
岡 義英(株式会社ディー・スタイル デザイナー)
参加費:
無料
主催:
株式会社チクマ
後援:
文部科学省、大阪府、大阪府教育委員会、大阪市教育委員会、兵庫県教育委員会、神戸市教育委員会、 都城市教育委員会
PDF:
セミナー詳細

【行政説明】いわゆる『性的マイノリティ』とされる児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について講師:文部科学省 初等中等教育局児童生徒課

 人権教育全般を巡る経緯・諸情勢から、「性的マイノリティ」に関する学校における対応まで、国の取組について詳しくご説明いただきました。

       

1. 人権教育全般を巡る経緯・諸情勢

・  人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成12年法律第147号)

人権教育・啓発に関する基本計画(第二次)(令和7年6月6日閣議決定)

・  人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ](平成20年3月人権教育の指導方法等に関する調査研究会議)

 

 人権教育では、児童生徒が「発達段階に応じ、人権の意義・内容や重要性について理解する(人権に関する知識理解)」「自分の大切さとともに他の人の大切さを認めることができるようになる(人権感覚)」そして「それが具体的な態度や行動に現れるとともに、人権が尊重される社会づくりに向けた行動につながるようにする」ことが求められます。

 この推進にあたっては、教科等指導、生徒指導、学級経営など、その活動の全体を通じて人権尊重の精神に立った学校づくりを進めていかなければなりません。その上で「教育の中立性の確保」「個人情報やプライバシーに関することへの配慮」等が求められます。

「性的マイノリティ」に関する学校における対応

・  性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律 (令和5年法律第68号)

学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査について(平成26年6月公表)

・  性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について (平成27年4月30日付 児童生徒課長通知)

・  性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け)(平成28年4月)

・  「いじめ防止等のための基本的な方針」の改定(平成29年3月)

・  生徒指導提要(改訂版)(令和4年12月)

校則等の見直し状況調査について(令和7年7月公表)

 

学校や企業における性的指向とジェンダーアイデンティティの多様性に関する取り組み講師:宝塚大学 看護学部 教授 日高庸晴

性的指向と性自認に関する国の取り組み

 「性的指向と性自認」に関連して、国から出された「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」(2015年)や「いじめ防止等のための基本的な方針」の改正(2017年)、そして2022年に12年ぶりの改正があった「生徒指導提要」の中にも性的マイノリティの児童生徒への対応に関する項目が盛り込まれました。

 また男女雇用機会均等法の改正指針(2006年)の中では、「職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれる」とされ、被害者の「性的指向又は成人にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となる」とされています。

世の中や司法の動き

 同性パートナーの扶養や内縁関係について各地で訴訟がおこされています。特に同性婚については国内5箇所で裁判が起こっており、全ての高裁で違憲判決もしくは違憲状態という判決が出ています。

 2022年に日高教授がLGBTQ+の人々約1万人を対象に行った調査*によると、自治体のパートナーシップ登録をしているカップルの91.5%が同性婚の法律化を望んでいます。(法的根拠のないパートナーシップ制度では不十分であるという当事者の想いが表されていると考えられ、)これは特権を望んでいるのではなく、「他の人たちと同じように平等に扱って欲しい」「診療場面でパートナーを家族として扱って欲しい」という願いなのです。

学生服における性別表現の多様性

 制服については2015年文部科学省通知「性同一性障害に係る児童生徒に対する学校の支援の事例」の中でも、「自認する性別の服装・衣服や、体操着の着用を認める」とされています。2019年のLGBTQ+当事者*調査でも、多くのトランスジェンダーの方が「与えられた制服に対する嫌悪感」を感じていました。

 学生服における性別表現の多様性について考える際は、ただ単に全員を同じ制服(型)にするのではなく、自分が望むジェンダーの制服を着用できる環境を整えることが求められています。

*日高庸晴(2024)LGBTQ+の健康レポート 誰にとっても心地よい医療を実装するために, 医学書院

講師のご紹介

日高 庸晴
日高 庸晴
宝塚大学 看護学部 教授

京都大学大学院医学研究科で博士号(社会健康医学)取得。 カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部研究員、公益財団法人エイズ予防財団リサーチレジデントなどを経て現職。

最高裁判所/司法研修所による裁判官対象の研修や法務省の国家公務員人権研修、人事院のハラスメント研修等の講師を務める。法務省の人権啓発ビデオの監修、文部科学省が 2016 年 4 月に発表した性的指向と性自認に関する教職員向け資料の作成協力、自治体による啓発教材の監修を多く務める。

NHK「時論公論」「ハートネットTV」などメディア出演多数。

デザインと考えるジェンダーと多様性社会講師:パナソニック株式会社 白鳥真衣子

 これまで取り組まれたDEIに関する2つの事例をご紹介いただきながら、「対話をひらくデザイン」についてお話していただきました。それぞれの事例については、下記リンクより最新の情報をご確認ください。

 

性教育絵本「ゆあのーまる」

インクルーシブデザインツール

 

講師のご紹介

白鳥 真衣子
白鳥 真衣子
パナソニック株式会社 ふつう研究室

2015年パナソニック株式会社に入社。 住宅・設備照明のプロダクトデザイナーを経て、現在はデザインストラテジストとして事業課題へのソリューション提案に従事。

2022年4月より、ふつう研究室を立ち上げ活動中。

ユニフォームデザインで実現する多様な価値観講師:株式会社ディー・スタイル デザイナー 岡義英

ユニフォームづくりで大切にしていること

 ユニフォームをつくるうえで「ユニフォーム自体の価値・効果を最大化すること」と「デザインにストーリー性を持たせること」を大切にしています。それにより、企業の価値向上に繋げています。

ユニフォームの「価値」とは

 ユニフォームには大きく分けて2つの価値があります。ユニフォームづくりではこれらの価値をまとめていくことが大切で、2つの価値がきちんと繋がることで良いものができます。

情緒的価値(印象づくり) 機能的価値

・ブランディング

・リクルーティング

・従業員の意識改革

・エンゲージメント(帰属意識)の向上

・安全であること

・快適に過ごせること

・動きやすいこと

・メンテナンスがしやすいこと

ユニフォームの作り方の変化【納得・共感・浸透】

 最近では企業のブランディングとしてのユニフォームが求められており、「価値」を作るプロセスを重視して、トップダウンではなくみんなで作っていく傾向があります。

 ユニフォームづくりにおいて、大切なことは「みんなで考えること」です。全員参加型投票やワークショップ等のプロセスを通して、多様な想い・考え方を取り入れることで「納得」と「共感」を生み、会社のビジョンが自分事として「浸透」し、一体感をつくることができます。

デザインにおけるコンセプト

 コンセプトとは、ユニフォームで表現する「個性」や「なりたい姿」を言葉にし、物語をつくることです。つまり、ユニフォームを考えることは「働く」を考えることです。ユニフォームを通して企業の存在価値やなりたい姿を一緒に考えることで、数年先の着用社へも「想い」を伝えることができます。

ユニフォームで多様な価値観を生み出す

 多様性とは、受け入れること・フラットでいることであり、自立と共生が大切です。心の自立があれば、相手を受け入れることができます。

 コンセプト作りには多角的な知識や視点が必要です。コンセプトのあるユニフォームづくりをすることは、多様な価値観を生み出すことに繋がります。

講師のご紹介

岡 義英
岡 義英
株式会社ディー・スタイル デザイナー

文化服装学院卒業後、ユニフォーム会社に入社しデザイナーとしてのキャリアをスタート。
後に独立し、現在まで約25年以上、ユニフォームデザインの仕事に携わっている。大切なポリシーとして、ユニフォームデザインは、企業をデザインすることと同じです。働く人が身にまとう、大切なブランドイメージのひとつとしてユニフォームをデザインする。
それにより、その企業の存在価値を可視化するということにつながっていきます。
お客様が抱えている課題を丁寧にヒアリングし、その企業が目指すべき方向性、本来のアイデンティティを一緒に模索・ご提示した上で、ユニフォームデザインとしてご提案する、これがD-Styleの仕事です。

「制服の一生すごろく」の体験会

 服育学びツールとして多くの学校でご活用いただいている「制服の一生すごろく」の体験会を行いました。

 このすごろくでは、制服の一生を通して衣服の環境問題や自分たちにできることを学ぶことができます。

サステナブルな取組や製品を展示

展示ではサステナブルな取組や製品を紹介しました。

夏の快適ユニフォームや小学校制服の紹介、猛暑対策としてドライアイスを使用した「氷点下ベスト」の試着体験も行いました。

他にも大阪・関西万博パナソニックグループパビリオン「ノモの国」のスタッフユニフォームとパビリオンファサード膜の端材を活用したアップサイクル風呂敷なども展示し、多くの方々にご覧いただきました。

 

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