こころを育む衣服 服育

  • 教材ダウンロード
  • 各種応募申込み
  • お問合せ資料請求
  • 検索
  • 教材ダウンロード
  • 各種応募申込み
  • お問合せ資料請求

服育活動レポート

服育からの環境教育アプローチ/日本環境教育学会関西支部

服育からの環境教育アプローチ/日本環境教育学会関西支部

服育からの環境教育アプローチ/日本環境教育学会関西支部

対象:
日本環境教育学会関西支部
日時:
2008年10月18日(土)14:30~17:00
目的・経緯:
関西地域を中心に環境教育の研究・普及・実践等を行っておられる学術団体・日本環境教育学会関西支部では、定期的なワークショップ等を通じて環境教育推進のための情報交換や勉強会を行っておられます。 これまでにも様々な分野から講師を招き研修やフィールドワークなどのワークショップを企画されてきましたが、今回は身近な衣服に係わる環境教育ということで私たちの「服育」活動に注目していただきワークショップで発表させていただくことになりました。

地球環境問題への対応から「服育」へ

まずは私たちの環境分野の活動について環境推進室・前田から、なぜ企業として環境問題への取組みを始めたのかその経緯と繊維リサイクルの現状について説明しました。

繊維には昔ながらの古着輸出、ウェス利用、反毛などのリユース&リサイクルの他、現在はケミカルやサーマルなど様々なリサイクル方法があります。しかし、一般衣料まで含めると一律にリユース・リサイクルするのは難しく繊維製品に関するリサイクル法などは未制定となったままです。

そんな中で私たちがどのような取組みをしているのか、ユニフォームのリサイクル現状やLCA(ライフサイクルアセスメント)調査の報告として私たちのLCA試算(リサイクルユニフォームは従来品ユニフォームに比してCO2の排出量が86%)について説明しました。

現在、企業としては 環境大臣認定の広域認定制度を活用し、ユニフォームの分野からCO2排出削減への努力を進めています。

セミナー風景

服育とは

そんな環境への取組みを進める私たちの中から、どのようにして「服育」という考え方が出てきたのでしょうか?

そこには企業が行う環境コミュニケーションが含む矛盾に対するジレンマがありました。豊かで快適・便利な生活を望む生活者と、豊かで快適・便利な生活を支えるための企業活動を行う企業側という図式からは「持続不可能」な社会しか実現されません。

持続可能な社会を実現するための主体は行政や企業でなく国民ひとりひとりであり、その国民に対する環境啓発活動も私たち企業に課せられた使命ではないかと思い至ったのです。

その表現方法のひとつが「服育」であり、環境はもとより服の持つ社会的側面、文化・歴史的側面、機能的側面、生産と消費的側面にまでその範囲を広げ概念を創り上げていきました。

服を単なる装飾としてだけでなく、多様な角度から見ていくと衣服の様々な面が見えてきます。例えば、衣服の今昔や消費・生産量の変化、また民族服の資料等、古今東西様々なものが服育のアイデアソースになってきます。

服育は私たちにとって社会的責任を果たしていくためのひとつの方法であり、服育を通して思いを行動に移していきたいと考えています。

セミナー風景

服育の環境教育実践

服育が形作られるまでの話に続いては、具体的にはどのような活動を行っているのか「実践紹介」という形で有吉より説明させていただきました。

私たちの活動の対象としては主に「子どもたち」と「先生方」がありますが、そのどちらにも環境面で伝えていきたいと考えているのは「衣服の循環」です。

衣服が作られ、着られ、そしてリユース・リサイクル、もしくは廃棄される過程を知ることで、自分たちの行動がどのような意味を持ち、どのような影響を与えるのか理解して欲しいと思っています。

まだまだ実践の数は少ないのですが、ゲームや実験など体験的な活動を通して「衣服の循環」を体感できる場を提供していきたいと試行錯誤している内容についてご紹介させていただきました。

「服育」からの環境教育へのアプローチはまだ始まったばかりですが、今回のような様々な立場の方からのご意見を参考に、より「生きる力」につながる活動へと充実を図っていきたいと思います。

先生のご感想

環境教育は、まず教育であって心豊かな子供の育成をめざします。次に環境にかかわり、ひとつには健全な自然の生態系を体験学習し、はじめて環境活動に参加することへとつながります。このような教育をうけて育った若者は、感性が目覚め、破壊や汚染された環境があると、胸が痛み自ら責任をもった環境活動を行なうでしょう。

環境教育で大切なものは「衣」「食」「住」をテーマとして、ライフスタイルを変えることです。今までの環境教育学会では、「衣」(着物)についての環境教育が手薄でしたが、今回のワークショップでは、服飾企業が主催する「服育」をめぐる環境教育の実演をご紹介いただきました。こうした企業の取り組みが広がり消費者へと伝わることが、環境問題の解決への第一歩であり、それが「服育」として成果を上げつつあるという状況を興味深く拝聴しました。チクマの環境教育活動や学習室などが充実していることに、参加者からの感動の声がよせられました。大きくいえば、産学共同の一端となるワークショップでした。
谷口文章 先生(日本環境教育学会企画委員長・関西支部長、甲南大学文学部教授)

参加者のご感想

現在「食育」が取上げられている中、新たな「服育」とはどのようなものかと考えていましたが、今回お話を聞いて環境を考える上でこれからは必要不可欠なものであると感じました。企業である以上、利益を追求することが大切であると思いますがそれよりも環境への配慮を優先させるという方針に非常に驚きました。逆風も強いかと思いますがこれからの時代には必ず必要になってくると思います。(学生・女性)
「特性化後の温暖化影響比較(全体)」のスライドが示していますが、全体の3/4を占める材料段階を除くと縫製段階において温室効果ガスの排出を半分にしているという点には驚きました。インドの綿花産業など人間や環境に対する負荷を考えると材料段階での温室効果ガスの削減は難しいと思いますが製品に対する消費者の購買スタイルの転換を推進することは重要だと思います。これから服育も重要な視点だと思いました。(学会メンバー・男性)
「服育」を「衣食住」の一環としてとらえさせていただきました・食育・住育は環境教育や経済への論理から何か方向性(エコ化)が見えてきましたが、服育のエコ化とは何でしょうか?その答えを求めて今日は参加いたしました。何故ならば衣服をつける動物は人のみです。食・住(巣)はすべての動物の生活に結び付きますが「衣」という非動物的なもの、非自然的(反自然的)なものを使用するところに問題の原点があるのではと考えています。(学会メンバー・男性)