こころを育む衣服 服育

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服育活動レポート

衣服の持つ力を見つめ直す/兵庫県阪神シニアカレッジ

衣服の持つ力を見つめ直す/兵庫県阪神シニアカレッジ

衣服の持つ力を見つめ直す/兵庫県阪神シニアカレッジ

対象:
兵庫県阪神シニアカレッジ(兵庫県)4年生
日時:
2008年1月29日(火)13:30~15:00
目的・経緯:
高齢者のための生涯学習の場である兵庫県阪神シニアカレッジでは、自己開発の支援や現代社会が抱える様々な課題に積極的に取り組めるよう、多角的なプログラムを組み提供し地域での活動につなげています。 4年制の高齢者大学講座には園芸・健康福祉・国際理解の三学科があり、今回は健康福祉学科の授業のひとつとして「服育」を取上げていただきました。

服育とは

シニアカレッジで服育についてお話させていただくのは今回が初めてです。まずは「服育」ということばを聞いたことがあるかどうか生徒の皆さんに聞いてみました。

予想はしていましたがやはり今日初めて「服育」ということばを聞いたという方ばかりでしたので、まずは「服育」とは何なのか?というところからお話していきました。

服というとどうしても「おしゃれをする」「かっこよく、きれいに見せる」ための「ファッション性」ばかりがクローズアップされてしまいますが、衣服を着る目的や可能性はそれだけではありません。

私たちがヒトとして生活するために必要なものとして「衣食住」の三要件があげられます。その中でも「食」は今様々な形で注目を集めており、「食育」として「食」を見つめ直す活動が日本全国で広がりを見せています。

しかし「衣」も「食」に負けないくらい生きていく上でなくてはならない大切なものです。その「衣」を見つめ直して「衣」の持つ可能性を広げようというところから「服育」は始まりました。

自分の印象を左右する衣服

講座の前半、まずは社会性という観点から服育を考えていきました。

社会を形成して生きる私たち人間にとって、人とのコミュニケーションなしに生きる事はほぼ不可能なことです。そのコミュニケーション手段には様々なものがあります。

大きく分けると言葉による意思伝達「バーバル・コミュニケーション」と、それ以外の意思伝達方法「ノンバーバル・コミュニケーション」があり、「ノンバーバル・コミュニケーション」のひとつとして衣服はあります。

しかも自分の気持ちひとつで変えることのできる衣服は「見せたい自分を実現する一番簡単な方法」であるという事もできるのです。

そのためにはTPOやオン・オフに応じた着こなしはもちろんのこと、その中でのアイテム選び、素材選び、カラーコーディネートが大切になってきます。

講義の中では特にそれぞれのカラーが持つメッセージや印象について説明していきました。例えばグレーなら落ち着いた印象、ピンクなら女性らしい明るさ、オレンジ色なら庶民的な印象を与えることができます。

TPOに応じて服のアイテムはもちろん、こんなカラーメッセージも上手く使うことができるようになると楽しいですし、人とのコミュニケーションも広がるかもしれませんね。

衣服を通して考える--文化理解

衣服を通して環境のためにできること

後半は環境問題について衣服を通して考えていきました。

昔、江戸時代、衣服は他のどんなものよりも生活の中できれいな循環の「環」を持つものでした。

綿などの天然繊維から作られた反物、そして着物は、大切に仕立て直しながら何代にもわたって着る事ができました。着物として着る事ができなくなったら裂き織りにしたり雑巾にしたり、そして最後は燃して灰になりました。この灰も肥料や染色に使われるなど本当に無駄のない、きれいな循環が出来上がっていたのです。

しかし今の衣服は、デザイン、素材、付属品、染料も多種多様で上手くリユース・リサイクルするのはとても難しい状態になっています。2001年の調べによると、衣服のリサイクル率はたった8%でした。

そんな現代の大量生産・大量消費の風潮を見つめ直すキーワードとして浮上してきているのが「もったいない」です。

ノーベル平和賞受賞者でもあるワンガリ・マータイさんが指摘しているように、「もったいない」には環境の3R(Reduce, Reuse, Recycle)の他、Respect(尊敬・感謝)といった気持ちが込められた素晴らしい言葉です。

衣服についても「もったいない」の気持ちを大切に、未来の子どもたちへ美しい緑の地球を残すための取組みを一人ひとりが考えなくてはならない時期がきているのです。

先生のご感想

私の友人がシニアカレッジで勤務をしていることを知り、「チクマ」が「服育」について取り組んでいると言うことを聞きました。「食育」という言葉は最近よく聞かれますが、「服育」という言葉は初めて聞きました。その時すっと身体に入ってきたのを覚えています。是非供講義をお願いしたいとお願いしましたところご快諾して頂きました。「服育」の講義の中で、私達が生活していく上での「衣・食・住」、その一番はじめに「衣」であったことを恥ずかしいことですが改めて認識すると共に、「衣」の持つ意味を「服育」という取り組みを通じて考えさせられました。「心と服装」とは深い繋がりがあると言われます。「服」を通じて「育む」こと大切にしたいと思います。
紙谷 寿先生(健康福祉学科教授)

生徒さんのご感想

服育のことばに関心を持ち楽しみにして参加させて頂きました。ノンバーバルコミュニケーションとしての衣服は今日まで意識しないで、TPOを考えてきたと思います。消費者として何ができるか、これからの課題となります。(4年生女性)
だらしない格好、服装が気の緩みや社会秩序の乱れに通じると思います。学校でも制服が廃止され、自分の格好、服装が個性を大事にするということで、そちらへ移行していますが、少なくとも学校や職場では制服equal服育であると思います。(4年生男性)
めずらしい言葉にいささかとまどったが、食育と共に広い意味を持ち、大切である事がわかりました。(4年生男性)