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服育活動レポート

「きちんと着る」を伝えるために何が必要なのか ~服装ルールを守らせたい大人と守りたくない子どもたち~

「きちんと着る」を伝えるために何が必要なのか ~服装ルールを守らせたい大人と守りたくない子どもたち~

「きちんと着る」を伝えるために何が必要なのか ~服装ルールを守らせたい大人と守りたくない子どもたち~

No.:
第5回 京都服育定期セミナー
日時:
2012年10月20日(土)
メイン:
「きちんと着る」を伝えるために何が必要なのか ~服装ルールを守らせたい大人と守りたくない子どもたち~
メイン講師:
ファッションデザイナー 小北 光浩
サブ:
制服の中に見る英国スタイル
サブ講師:
服育研究会 有吉 直美
会場:
こどもみらい館 4階 第一研修室
主催:
京都服育研究会
PDF:
セミナー詳細

「きちんと着る」を伝えるために何が必要なのか ~服装ルールを守らせたい大人と守りたくない子どもたち~講師:ファッションデザイナー 小北 光浩

ファッションとは

ファッションとは、「自分が何に属し、何を考え、何を発信しているのか」を表現しているものです。 人にどう受け取って欲しいのかによって、どういうシチュエーションで誰に向けて何をどう着るか変わってくるもので、ただ単に奇抜な格好をするのがファッションではありません。

ファッションは自分から打ち出すセルフイメージであり、時代によって「どう見られたいか」「どう見えるか」が変化するのとともに、自分のイメージを伝えるファッションも変化しています。単なる衣服ではなく自己と社会(コミュニティ)との間にあるのがファッションでなのです。

そんな衣服の中で制服もまた衣服としてだけ捉えるものではなく学校・職場のスタイルとしてあるもので、文化的なものとしてとらえることができるでしょう。

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ではなぜ子ども達はそのスタイルに反抗するのでしょうか?

ファッショントレンドの中に見る伝統と反抗

ファッションの変遷の中にも、若者の反抗から起こったファッショントレンドはたくさんあります。 戦後、若者に余裕が生まれてくると大人と若者の間に価値観の差があらわれました。

英国において労働者階級の若者たちが自分たちのスタイルを表したテディ・ボーイズ(テッズ)、中産階級の若者から出てきたモッズ、不良スタイルのロッカーズなど戦前とは違うファッションが若者の中に生まれてきました。その後現れたヒッピーもスーツスタイルへの反抗から生まれたファッションで、原色や民族衣装のテイストなどを取り入れているのが特徴です。

反抗は若者が自分たちなりに自分たちの居場所を「規範を持つ社会」の中で探していく作業でありました。

しかしそんな若者文化も80年代後半から00年代、そしていまへ続く文化的アイコンの再生産再消費によって徐々に彼らの手から離れてしまいました。

それは、反抗すべき規範が反抗すらも取り込み拡張していく社会を生み出したのです。

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子どもたちを理解するために

昔は権威というものが分かりやすく、反抗の図式もシンプルでした。 一方現代は大人の側の権威自体がゆらいでおり、子ども達もどこに反抗するのか分かりにくくなっているのかもしれません。つまりその子が反抗していく背景が分かりにくくなってしまっているのです。さらに再生産され世の中にあふれる様々な価値観によって、より一層子ども達のことを理解するのが難しくなってきています。

しかしそれでも大切なのは、子ども達と大人の価値観の摺合せをしていくことです。 価値観が相容れないという大前提に立ちその子がどう考えてそれを行っているのか(服を着こなしているのか)を引き出して理解し、その上で学校のルールを教えてあげることが大切なのではないでしょうか。

講師のご紹介

小北 光浩
小北 光浩
ファッションデザイナー

京都造形芸術大学非常勤講師、香ケ丘リベルテ高校非常勤講師

2002年、Central Saint Martins College of Art & Design BA Fashion/womenswear及び2004年MA Fashion/menswear卒業。在学中にビクトリア&アルバート美術館での展示やショー、ヨークホールでのプレス向けの選抜卒業ショー、リスボンでのロレアルのショー、在日英国大使館でのショーを経験。帰国後マサキ・マツシマでのデザインアシスタントを経て、2004~2008年ワールドにてアンタイトルメンのデザイナー、2006~2007年銀座壱番館プレタポルテラインのデザイナー、2008~2009年コムデギャルソン企画生産部にてジュンヤワタナベメンを担当。2011年に自身のブランドMITSUを立ち上げ

制服の中に見る英国スタイル講師:服育研究会 有吉 直美

日本に大きな影響を与えた英国

2012年はロンドンオリンピックを筆頭に、英国イヤーと言っても過言ではないくらい、英国に関する 報道が溢れています。 時代をさかのぼってみると、日本は明治維新の時代多くのことを外国(西洋)から学び取り入れてきま した。中でもお雇い外国人の数が一番多かった英国からは、特にたくさんのことを学び取り入れてきました。

衣服も例外でなく、1872年の「礼服ニハ洋服ヲ採用ス」とする太政官布告から徐々に、洋装化が進んでいきました。中でも学生服を含む制服は洋装化の先陣を切り、着物から洋服へと変わっていきました。

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制服の中に残る英国テイスト

階級社会の英国ではそれを着用することがひとつのステイタスだった「スーツ」や、諸説ある語源がすべて英国からきている「ブレザー」、軍隊の制服に由来する「詰襟」と「セーラー服」、そしてスコットランドの氏族のクラン(家紋のようなもの)だったタータンチェックなど、多くの学校で採用されている制服の中に英国由来のものはたくさんあります。

生徒さんに服装のことを話す際、こんなこぼれ話も交えてお話ししていただければ、生徒たちも制服に興味を持って聞いてくれるのではないでしょうか?