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服育活動レポート

2016年愛知服育発表会レポート

「被服心理学」で読み解く衣服のメッセージ ~コミュニケーションツールとしての装い~

「被服心理学」で読み解く衣服のメッセージ ~コミュニケーションツールとしての装い~

No.:
2016年愛知服育発表会
日時:
2016年8月5日(金)
場所:
東桜会館 1Fギャラリー
参加費:
無料
後援:
愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会
主催:
愛知服育研究会
PDF:
発表会詳細
メインセミナー:
「被服心理学」で読み解く衣服のメッセージ ~コミュニケーションツールとしての装い~/内藤章江
トークセッション:
制服指導にいかす被服心理学の視点/内藤章江×有吉直美(服育net研究所)

メインセミナー/「被服心理学」で読み解く衣服のメッセージ ~コミュニケーションツールとしての装い~講師:お茶の水女子大学 グローバルリーダーシップ研究所 特任講師/内藤章江

1.コミュニケーションの種類

コミュニケーションとは情報の伝達、意思の疎通のことであり、大きくは言葉によるバーバルコミュニケーションと言葉以外によるノンバーバルコミュニケーションの二つとされています。「人は見た目が9割」と言われることもありあすが、これはアルバート・メラビアン(米心理学者)による第一印象を決定する3要素(視覚情報38%、聴覚情報55%、言語情報7%)の言語以外の部分の割合によります。

2.衣服の社会・心理的効果

同じ人なのに服装が違うだけで対応が変化したり、服装によってその人の行動が良く見えたり悪く見えたりするのは、衣服の社会的、心理的機能によるものです。さらには外面が自身の内面に影響するという報告もあり、衣服は私達の心理に大きな影響を及ぼしています。
「制服着用状態」と「制服着用に対する意識、学校生活」についての調査でも、生徒の心と制服着装状態に関係性があるという結果が出ています。

3.制服の着用方法がコミュニケーションに及ぼす影響

1)「学校」という場の捉え方
中学生、高校生、大学生にとって学校はカジュアルな場として捉えられており、かつ、自宅と買い物の場面に近い感覚で捉えられています。
学校で着用する衣服は、学年が上がるにつれ、機能性に対する意識は薄れ、自己アピールや流行を意識するようになり、社会性に対する意識が低くなっています。
2)制服の着用方法と着用場面の関係から生じる感情
制服着用者を見た場合、正しく着用している人を見ると肯定的感情が、正しく着用していない人を見た場合は個性的という感情とともに否定的感情が生起しています。
また制服着用者自身が抱く感情としては、正しく着用している人は「当たり前、きちんとしている」と感じており、正しく着用していない人は「個性的、おしゃれ」と感じながら着用しています。
3)制服に対する教師と生徒の意識の違い
スカート丈についての教師と生徒の意識の違いを調査してみると、生徒の5割以上が「着用してみたい」と答えたミニ丈を、教師の8割以上は「着用させたくない」と答えるなど、スカート丈に対する意識や認識は異なっています。
グループワークで行った「制服からどのようなイメージが伝わるとよいと思いますか?」で出てきたイメージも、同様の調査を生徒向けに行ったものと比べると相違点がありました。生徒は教師よりも「個性」や「かっこよさ」を制服で表現したいと思っているのです。

4.コミュニケーションツールとしての装いとは

「装い」をコミュニケーションツールとして活用するためにはポイントが3つあります。
・衣服と着用者、着用場面の関係性を考えることが重要。
・自分の「装い」が相手にどのような印象を与えるのかを考えておく。教育・指導時にその視点を取り入れる。
・「装い」がコミュニケーションツールの一つであり、多くのメッセージを発することを忘れないようにする。
衣服コミュニケーションの力を育むツールとして「服育着こなしワークシート」を紹介して頂きました。友達という自分に近い価値観を持った人の客観的視点に気付くこのワークシートは、これまでの一方的な指導とは異なる取り組みとなるのではないでしょうか。

講師のご紹介

内藤 章江
内藤 章江
お茶の水女子大学 グローバルリーダーシップ研究所 特別研究員

2008年お茶の水女子大学 リーダーシップ養成教育研究センター 特任助教、グローバルリーダーシップ研究所 特任講師を経て現職。博士(学術)。専門分野は被服心理学、被服意匠・色彩学。衣服・着用者・着用場面の相互関係が着用者自身や周囲に与える心理的・生理的影響に関する研究に取り組む。著書に「装いの心理と行動」(共著)、「生活の色彩学」(共著)などがある。

トークセッション/制服指導にいかす被服心理学の視点講師:内藤章江×有吉直美(服育net研究所)

事前に参加者の皆さんからいただいていた質問を元にトークセッションを繰り広げました。第一ボタンやネクタイ・リボンの指導に悩んでいるという質問に対しては「まずはその理由を生徒に聞いてみて、その状況を客観視させましょう」、教師自身の服装については「教育者・指導者としての立場・印象を深めるために、知的で洗練された印象を形成する服装をお勧めします」等分かりやすく教えていただきました。

参加者のご感想

生徒に服装について説得力がある授業の指導ができそうな内容を教えていただき感謝しています。(中学校教諭)
制服に対するイメージ、効果について自分では気づかなかったことを学ぶことができ勉強になりました。先生と生徒さんお制服に対する思いが違うということが印象的でした。(幼稚園教諭)

講師のご紹介

内藤 章江
内藤 章江
お茶の水女子大学 グローバルリーダーシップ研究所 特別研究員

2008年お茶の水女子大学 リーダーシップ養成教育研究センター 特任助教、グローバルリーダーシップ研究所 特任講師を経て現職。博士(学術)。専門分野は被服心理学、被服意匠・色彩学。衣服・着用者・着用場面の相互関係が着用者自身や周囲に与える心理的・生理的影響に関する研究に取り組む。著書に「装いの心理と行動」(共著)、「生活の色彩学」(共著)などがある。