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服育コラム

VOL.26 チョゴリ(その3)

和服との対比

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朝鮮半島の人たちの伝統衣服である韓服と日本人の和服は、ほとんどの民族衣装の歴史がそうであるように似たような経緯をたどっているように見えます。

元々、両者共独自の衣服文化があり、強力な隣国=中国(漢、隋、唐、明)の政治や文化の影響を波状的に受け入れつつも、完全に染まってしまうのでなく自国に適したようにアレンジを加えながら、韓服(チョゴリ)と和服という独自の伝統服を継承してきました。

近世に入り欧米列国が東アジアを目指し、中国と同じようにその文化を伝えました。そして衣服についても我々はそのスタイルを受け入れてきました。しかしながら、全てがそうなるのではなく、両者とも普段は伝統服を着用するのは珍しいことではありませんでした。

日本の和服に比べ韓服の方が最近まで日常的に着用されてきたのは、様々な背景はあると思いますが、農耕民族になじみやすかった日本の和服に比べ、騎馬民族が創った韓服の方がより機能的であり現代生活に馴染みやすい形態であったからではないかと思えます。

男性用のチョゴリ(上衣)とパジ(下袴)は筒袖のような上衣と足さばきの自由な下袴になっており、狩猟や放牧など大草原を馬で駆けまわる生活には適しているデザインがルーツにあります。女性も和服と異なりチマの下にはくズボン型の下着があります。

遠い歴史を振り返ってみると、『食を制する者は世界を制す』といわれますが、『衣服を制するものは世界を制す』といえるかもしれません。国を制するということは様々な文化をも制するということですが、その文化の背景には民族特性が根底にあったように思えます。農耕、騎馬、狩猟、漁労、遊牧、等々の民族が民族としての文化の特性を持っていました。

最後に

しかしながら、現在は情報という技術が民族を超え世界を制しているようにも見えなくもありません。とするならば、新技術という文明は民族が持つ固有の文化を滅ぼしてしまうのでしょうか?

最近好きになった言葉があります。 「大気は国境を知らず、風はパスポートを持たない。」Sir Crispin Tickel。 この言葉には、『世界はひとつ。でも各々の歴史や文化を大事にしよう。』という優しさが見えるのですが・・・。